Teatown’s blog - Art Room

アートと建築関連のつぶやき

原田マハ「ゴッホのあしあと」刊行記念講演

今日は、都内某所で行われた原田マハ氏の「ゴッホのあしあと」刊行記念講演会に参加してきました。

日本の浮世絵が印象派に大きな影響を与えた19世紀末に、その渦中でわずかな期間の画家人生(ゴッホのメジャーな絵は晩年の4年間に集中しているそうです)で後世に感動を与える情念を込めた絵を描いたゴッホ。そのゴッホを常に支え続けて、後を追うように亡くなった弟のテオ。同時期にパリで浮世絵を売って財をなし、日本文化をフランスに広めるという功績を成し遂げた林忠正(彼は後に帰国後売国奴と罵られたらしい)。彼らの交流を創作し小説とした作者の視点から見たゴッホと19世紀末のフランス文化論とでもいう内容でした。

第二回のパリでの万博は1867年ですが、その年日本では大政奉還の年だったんですね。そんな時代に、ジャポニズムが遠くフランスで大旋風を巻き起こしていたというのは、何度聞いても何かワクワクと嬉しい気持ちになります。原田氏が言った「我々は、風や雨を線で描写するという、浮世絵のDNAを持っている」というのが印象的でした。西欧の人に雨を書かせると雨粒としてしか書けないとか。

ゴッホといえば耳を切ったという事件があまりにも有名ですが、原田氏は耳たぶの一部を切り取ったという説を提唱しています。しかし、最近、学界ではやはり耳を全部そぎ落としたのではないかという説が優勢なんだそうです。あと、最後はピストルで自殺したということになってますが、他殺説も最近出てきているそうで、ゴッホにまつわる話はセンセーショナルなことが多いだけに、未だに色々な説が出ているようです。

ゴッホがアルルで描いた「夜のカフェテラス」のレストランは今も健在だそうです。でも、値段が高くてまずいらしく、あまり人が入っていないと言ってました。

ゴッホは、描く色を確認するため毛糸を使っていたそうです。それが今も残っていて、オランダのゴッホ美術館で展示されているそうです。オランダにはゴッホ美術館とクレラー・ミュラー美術館というゴッホコレクションの双璧があるそうなので、いつか行ってみたいと思います。

講演は、作者が実際にゴッホゆかりの地を訪れた際に撮った一枚の写真、糸杉の向こうに見える星と月、でお開きとなりました。

 

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