Teatown’s blog - Art Room

アートと建築関連のつぶやき

「#映える風景を探して」展@町田市立国際版画美術館

今日は、町田市立国際版画美術館でやっている「#映える風景を探して 古代ローマから世紀末パリまで」という展覧会に行って来ました。

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実はこれ前から行こうと思ってたのですが、先月の緊急事態宣言で軒並み美術館・博物館が閉鎖されて、すっかり忘れてました。ちょうど今週やっていた「ぶらぶら美術・博物館」で町田特集があって、思い出したわけです。

www.bs4.jp

このタイトルにもなっている「映える風景」と言うのは、18世紀に始まったPicturesqueという概念だというのがこの展覧会の趣旨なんですね。Picturesqueな風景を求めてスケッチをするのが当時の流行りだったようで、スケッチに夢中で川に落ちるとか、当時すでにそういう風刺画があったようです。Instagramに載せる目的で写真を撮る現在の風潮も、18世紀のPicturesqueの焼き直しと見ると面白いですね。

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Picturesqueな風景に夢中な人を風刺する挿絵

版画美術館だけに、展示品はほぼ版画です。ぶら美でも取り上げられていたレンブラントの「三本の木」ですが、右下に人の形があるのをなんとか確認できました。これは、言われないと分からないくらい微妙に刷り込まれてます。当時の版画は、今で言う写真の役割で、記録の意味があったのですね。そういう観点で、ナポレオンのエジプト遠征の後に出版された「エジプト誌」の版画による記録は素晴らしいものでした。多色刷りのは特にですが、稠密なドットからなる壁面の様子など近寄って見てみると感動を覚えました。

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エジプト誌

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エジプト誌

あと、パリ万博の時に作られたエッフェル塔とその周辺の会場の鳥瞰図も興味深いものでした。

最後のコーナーでは、写真が使われて記録の地位を脅かされた版画ですが、むしろ世界をそのまま撮しとる写真ではなく、作家のフィルターを通して記録できる版画を見直そうと言う腐食銅版画家協会の活動が紹介されていました。時代に応じて意味合いを変えて来た西洋版画の歴史が窺い知れる展覧会だと思います。