Teatown’s blog - Art Room

アートと建築関連のつぶやき

松方コレクション展@国立西洋美術館

今日は、国立西洋美術館で開催されている松方コレクション展へ行ってきました。

 

この展覧会は2016年に発見されたモネの「睡蓮、柳の反映」のデジタル修復が見られることで話題になってます。モネ以外にも20世紀初頭の有名どころを大量に購入した松方コレクションの凄さが分かる展覧会でした。こんなのも持ってたのかという驚きが多々ありました。

 

コレクションの内容も素晴らしいですが、そもそもこの松方幸次郎という人がなぜこんなにすごいコレクションを持つに至ったのかという背景が分かって面白かったです。川崎造船所社長として第一次世界大戦で輸送船の需要が増えるというのを見越してロンドンをベースに売り込みを図り財を成したというのは、期を見るに敏であったということで、経営者としての際があったということだと思います。そして、その財を元に西洋美術の本物を収集し日本に持ち込んで、日本美術の向上に寄与するべく、美術館を作るという構想を持っていたとのことです。そういう志を成功者が持って実行していたのは素晴らしいことだと思いました。とはいえ、海軍からドイツの潜水艦の設計図の入手を頼まれていたという話もあり、絵画購入が実はそういう目的の隠れ蓑だったのではという観測もあるようで、まぁ、さもありなんという気もします。その後、戦争が終わり需要激減で川崎造船所は経営破綻に至り、松方コレクションも散逸してしまったのは残念な出来事でした。欧州に残った松方コレクションは、ロンドンの倉庫の火災や第二次大戦後フランスで敵国資産として接収されたりと受難の歴史を経ました。その後フランスから返還されたというのも凄い話ですが、フランスが幾つか手放さなかった(返還しなかった)絵もあるのですね。西洋美術館建設はフランスからの松方コレクションの返還の条件の一つでもあったとのことです。

 

こういう背景も踏まえながら、素晴らしいコレクションを鑑賞してきました。

 

artexhibition.jp