上村松園展&ゴッホ展
今日は、まず国立近代美術館の上村松園展を見てきました。
上村松園という人は女流画家であり、雅な女性の絵ばかりを書くのが特徴で、髪の毛の生え際や着物の柄など繊細な筆のタッチに圧倒されます。
「序の舞」や「人生の花」や「娘深雪」などの数々の傑作と言われる絵が展示されていて、見ごたえがありました。
趣向の面白さに惹かれたのは「蜃気楼」です。ぱっと見ると普通の女性の絵なのですが、足の方をみると、足がなくて、すっと下の蛤から幽霊のように立ち上っているという構図になっています。こんな遊び心を込めた絵もあるのかと、ちょっとビックリ。
恋に敗れた怨念を表したと言われている「焔」と「花がたみ」ですが、前者は残念ながら前期のみの展示だけだったそうで、見ることはできませんでしたが、後者は見ることができました。虚ろな表情でさまよい歩かんとしている様がよく描かれてます。「焔」は謡曲「葵の上」を題材に、「花がたみ」も謡曲「花形見(花筐)」を題材にした作品ということで、これらの絵の奥深いところまで理解するには謡曲も勉強しなければならないようですね。
上村松園展で、和の美を堪能したあとは、洋を堪能すべく、六本木の国立新美術館で開催されているゴッホ展に行ってきました。
没後120年 ゴッホ展 こうして私はゴッホになった|企画展|展覧会|国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO
ゴッホはアルルでゴーギャンとの共同生活を始めて耳をそぎ落としてしまうという事件を起こすわけですが、そのアルルの寝室を再現したセットが作られていて中々興味深かったです。
晩年は、精神を病んで精神病院で過ごしたのですが、その頃に書かれた「草むらの中の幹」という作品には、その幹の描写が数々の色の太い筆先の線で構成されていて、狂気を湛えた精神で見たからこそ描ける木の幹のような気がしました。